初めての世界選手権観戦記(3/20 3/22)

 世界選手権終わりましたね!

 いやー、ネイサン強かった。全米の時の演技を出されたら、こりゃ勝てないかもなあと思ってたけど、ワールドでもあの演技ができるとは。めちゃくちゃかっこよかったですよね。全てのジャンプのクオリティが高い。4Lzをあのスムーズさで飛べるとはなあ。

 あとそもそも彼に、Land of allって曲がめっちゃ合いますよね。映画もちょっと見たくなりました。

 我らが羽生さんも素晴らしかったです。otonalも美しかったし、originの鬼気迫る演技も迫力がありました。上から見たイナバウアーの美しさ。ハイドロで、いつもつかないところで軽く氷に手をついているのを見てしまった時は、ああ、羽生さんは今限界の中で戦ってるんだなあとわかって胸が苦しくなりました。

 他にも今季苦しめられた回転不足判定を乗り越えたヴィンスの演技や、エイモズくんの独特の世界観、リッツォくんの躍進などなど、印象的なシーンは多々ありましたね。

 

 そんな世界選手権、日本で行われるのは2014年以来5年ぶり。つまり、これを逃したら次がいつになるかわからないわけです。是非、毎日試合を見たいぞ!とチケット戦争に参戦してみたのですが、男子の日は流石に激戦で取ることができず……。

 そんなわけで、3/20、3/22と男子シングルの試合がない日に行ってきました。22日は仕事がどうしても抜けられなくて、女子シングルの途中から参戦しました。

 

 実は試合を生で観戦するのは今回がほぼ初めてでした。「ほぼ」というのは、一応Japan Openに行ったことがあるんですよ。でも、あれは余興試合みたいなところがあるので、試合観戦にカウントして良いものかちょっと悩みます。とても楽しかったですけどね。織田くんのYMCAスピン本当に最高でしたしね。

 一方で世界選手権。流石に迫力、熱気がすごい!世界一を決める大会だから当然のことなのかもしれませんが。ちなみに私の席は400レベル。天井席と呼ばれるところでしたが、リンク全体がよく見えて良かったです。

 

 実際に見て印象に残った演技は以下の通りです。

スイハンSP

 第3グループだったのですが、ペアに詳しくない人間から見ても、格が全く違うのがわかりました。猛スピードから速度を落とすことなく、滑らかに実行されるエレメンツ!いやあすごかった。すごいものを見た。

 

デールマンSP

 上から見ているとジャンプの飛距離がよくわかるのですが、デールマンの3T3Tは、いかに3Tが比較的飛びやすいジャンプとはいえ意味がわからないレベルの飛距離でした。リンクのショートサイドをひとっ飛び!いやはやすごいものを見た。

 

メドベージェワSP・FS

 今回の世界選手権観戦の目的の一つが、メドベージェワ選手の演技を見ることでした。平昌五輪での「アンナ・カレーニナ」を見て感動し、軽い気持ちで行ったFaoiで彼女の「experience」に心を鷲掴みにされてしまいました。そういうこともあり、今季はドキドキハラハラしながら見守っていました。

 ロシアカップファイナルで、ようやく掴み取った勝利とワールドへの道。正直、メドベージェワ寄りの人間からしても、今季の成績を考えればリーザが行くべきだったのかも……とは思います。でも、やはり私としては、あのタイミングで仕上げてきた彼女の闘志におめでとうと言いたいのです。

 今回も彼女は素晴らしかったです。めちゃくちゃ緊張して楽しむどころじゃなかったんですけど、ジャンプが決まるたびに「うおおおお!!!!」と心が震えました。これが生観戦の迫力なんですね。

 

宮原FS

 私は宮原さんのプログラム、SPのほうが好きなんですが、今回はFSが良かったですね。氷の上ですうっとブレードが滑っていく様がとてもなめらかで美しく、これは生観戦じゃないとわからないなあと思いました。

 

坂本FS

 坂本さんもデールマンさんと同様すごいジャンプの持ち主。スケーティングもまるで空を飛んでいくようで、ぐいぐい滑るのが天井からだとよくわかります。2Aがとても大きくて、坂本花織限定で2Aの基礎点を上げてほしいと思うレベル。

 

トゥルシンバエワ FS

 衝撃の4S!素晴らしかったですね!!!しかし4Sだけではなく、流石エテリ勢というべきか、どのエレメンツも隙がなくて美しく、演技全体の完成度が高かったです。来季も楽しみですね。

 

ザギトワ SPFS

 今季いろいろあったので、滑る前は大丈夫かな……?と勝手に心配していたのですが、3Lz3Loをバッチリ決めてきたところで「あ、こりゃ大丈夫だ」と感じまして、あとはただただ純粋に演技を楽しみました。

 SPのオペラ座の怪人、編曲があまりにもあまりにも過ぎて、これどうなの?と思っていた時期もあったのですが、気がつくと求めている自分がいますね……。バリーン!と鏡を割るシーンでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!ってなってます。

 

 あと、Dasa GRMさんのFSが結構印象的でした。冒頭でセリフが流れ始めたとき「おいおいエテリ組の方ですか?」なんて思ったんですけど、作品としてすごく見ていて面白かったなあと。気持ちが伝わってくる演技って良いですよね。

 あとは紀平さんのbeautiful stormとか、ウンスさんのロキシー・ハートとかお気に入りプロが生で見られてよかったです!

 

 演技以外で気になったことといえば、6分間練習です。初めてみたのですが、なかなか興味深かったです。

 みんなプログラムで飛ぶところと同じところでジャンプ練習してるんですね、知らなかった。あと、後ろのグループになればなるほど全員のスケートのスピードが上がっていくんですね。第一グループ第二グループでの6分間練習はまったりしているときも多いですが、最終グループは全員がびゅんびゅん滑る!時々ニアミスもあってひやっとしました。あれ、たまに事故があるのも納得です……。

 

 初日はオープニングセレモニーがあったのですが、すごく良かったです!氷艶コラボなんですね。日本の独自色が出てて面白かったです。ミラノのワールドオープニングセレモニーも、ダヴィンチを前面に押し出してましたっけ。各国が個性を出してくるって良いですよね。

 源氏物語をテーマにしていた「月明かりのごとく」、メンバーの豪華さもさることながら、衣装に力が入ってて、めちゃくちゃ氷艶が楽しみになりました。一度、着物風衣装ではなく、ちゃんとした着物衣装で滑っているところ見てみたかったんですよー!*1 鈴木明子さんの滑りがかっこよくて素敵でした。

 

 色々感想を書きましたが、今回の世界選手権に行ってみて一番感動したのは、どの国の選手にも、客席で国旗が振られていることでした。スケートファンの方達が観戦に何枚も国旗を持ってくるのは知ってましたけど、実際に見ると感動しますね。結構マイナーな国でも誰かが国旗を持ってきていて、その選手の演技前と後に振ってあげている光景はなんだかじんと来ました。

 遠い国から日本に来て、満員のお客さんの中、たった一人でリンクに立ったときに、客席に自分の国の国旗が振られているのが見えるのって、一体どんな気持ちになるんでしょう。

 わたし、あまり国旗に思い入れがなくて、羽生くんが国旗を大事にしているのを見てても、「羽生くんは大事にする人なんだなー今どきの若者にしては珍しいなあー」程度に思ってたんです。でも、あの光景を見ると、羽生くんが国旗を大事にしている気持ちがなんだかわかる気がします。

 

 あと、ちょっとびっくりしたのが、とにかく長丁場!そして休み時間がない!(特に初日)

 初日は朝10:30からペアSPが始まって、オープニングセレモニーがあって、女子SPが夜21時まで続くとは……。私勝手に1〜2時間位はどこかで休憩挟むもんだと思ってたんです。確かに休憩はあるんですけど、長くて20分程度なんですよ。衝撃でした。

 まあワールドだから、という側面もあるんでしょうけど(GPSはもっと参加者少ないし)。このスケジュールを見るに、ネットで物議を醸していた某百貨店のチケットの売り方をあんまり責められないなあと……。だってご年配の方は11時間観戦は流石に無理でしょ。はじめからカップル競技を見に行けない、あの売り方はいかがなものかとは思いますけど。もう少しなんとかならないもんですかね……。

 あと、長時間見てると目がすごく疲れるのも初めて知りました。目薬必要ですね。次の機会は持っていきます。

 

 今回の運営に関しては、ツイッター上でいろいろ話題にもなっていましたが、自分が感じたのは会場にスタッフが少ないなあということ。たまアリでライブに行ったこと何回かありますけど、その半分もいないんじゃないか?と。それでいて超長丁場なわけで、回らないのもある意味必然なのかなーとは思いました。

 

 ところで、日本スケート連盟って「公益財団法人」なんですよね。

https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/other/pdf/20161116_NewPanflet.pdf

 内閣府の公益財団法人のパンフレットを見たのですが、公益財団法人に求められることとして、「公益性」ということがあるそうです。その公益性というのは、

 ・公益目的事業を行うことを主としていること
 ・特定の者に特別の利益を与える行為を行わないこと
 ・収支相償であると見込まれること(※あまり儲けすぎてはだめということですね)
 ・一定以上に財産をためこんでいないこと

 などがあたるそうです。こういう団体であることを考えると、利益を追求できる一般企業ほど自由度があるわけじゃないのかなあとは思います。財産を溜め込めなかったり、利益をあげられないとなると、運営を改善しようと思っても現資金がなくてできなかったり、専門の熟練スタッフを何人も雇ってノウハウを蓄積したり……なんてこともできなさそうですし。

 あとよくフィギュアで儲けたお金をスピードスケートに使ってると批判されるときもありますけど、公益目的事業は「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」なので、フィギュアで儲けたお金だからフィギュアに多く使う~って団体ではそもそもないってことなんですかね?

 個人的に、スケ連を見ていて思い出すのは「学会」ですね。学会も公益財団法人だったりしますし。学会を運営している人たちは別にそれが仕事ではなくて、他の業務を行いながら学会を運営しているんですよね。企業と違って明確な指揮系統のもとで動く組織でもないし、明確なビジョンがあるわけでもないですし…。

 だから、学会って企業が運営しているイベントよりもかなり緩かったりします。スケ連に感じるゆるさもそういうことなのかなとは思います。

 まあ、そのゆるい団体がさいたまスーパーアリーナで連日満員のイベントやるっていうのが、いろいろと不幸のもとなんだろうなあとは思いますね……。

 

 最後は愚痴みたいになっちゃいましたけど、世界選手権楽しかったです!また日本に来たら、今度は休み頑張ってとって全試合みたいなあ~体力持つかな……???

 

 

*1:羽生さんに烏帽子かぶって滑ってほしいなあ