2018/19 個人的好きなプログラム10選
2018/19シーズン、個人的に好きなプログラム10選覚書。新米ペーペー何もわかってないスケートファンが書いた文章としてゆるい感じで見守ってください。
なお、自分縛りとして、1選手1プログラムのみのエントリー、ということにしています。
1.アレクサンドラ・トゥルソワ FS
冒頭の審査員席に殴りかかる衝撃マイムからの4Lz!フィギュアスケートを見始めたばかりの身には大変な衝撃でした。
この不穏な音楽と、衝撃のクワドジャンパーという来歴とがぴったりとマッチしているのも好きな所です。ジャンプの前の助走タイムはあまり好きではないのですが、トゥルソワさんのこのプロでの4Lzは「来るぞ……来るぞ……」という感じで見ていて楽しいですね。あと4T3Tからの2Aの異常な間隔とかも見どころ。
編曲とかは良いんです。この曲がトゥルソワさんに合っているということが重要なんです。
2.チャ・ジュンファン SP シンデレラ
スケオタ界を席巻した衝撃のジュリエットも良かったのですけど、個人的にはこちらのSPを推したいです。指先まで美しい姿勢、優雅でノーブルな雰囲気。スピンの解き方に至るまで、滑っている姿勢が常に美しいのは、幼少期からの芸能活動が生かされているからでしょうか。特に時計の振り付けが良いなあと思っていたらまさかの御本人振り付け。先が楽しみな17歳です。
3.ケヴィン・エイモズ FS In the shirt
フランス男子は、胸元ざっくりさせないと駄目なんですか?って思うくらい、誰もかれもが衣装の胸元をざっくりさせていますが、その筆頭といえるのがこのケヴィンくんです。
シーズンを通してミスがちょくちょくあったプログラムではありますが、彼の創造性が存分に生かされたプログラムでもあったかと思います。ジャンプ直前までみっちりステップを詰め込み、独特なコレオ(あのズサーとかね)、スピンの姿勢に至るまで手が行き届いてますね。一つ一つのステップのエッジが深くて美しいのもいい。余韻を打ち消さないように、演技が終わったあともフィニッシュポーズを保ってくれるのも好印象です。
4. 宇野昌磨 エキシビション Time after time
宇野くんは今季エキシビションプログラムを複数用意していましたが、個人的には圧倒的Time after time派です。氷の上をなめらかに溶かして滑るような彼のスケートと、デイヴィッド・ウィルソンの振り付けがとても合います。甘いバニラアイスクリームの上に、ほろ苦いブランデーをかけたような大人の味です。
彼のキャメルスピンが好きなんです。体幹に影響するような大きな動きをしても、体が全然ぐらつかないので、キャメルスピンの前の難入りがすごく綺麗ですよね。変わった入りから、まるでそこに行くことが初めから決まってるみたいに、真っ直ぐにぴたりとキャメルのポジションに向かっていくのが見ていて心地いいです。
5.ネイサン・チェン FS Land of all
実は全米選手権を見るまで、SPのキャラバン派だったのですが、全米を見てこちらに乗り換えました。こんな高難度プログラムを普通にこなしちゃうなんて、しかもイェール大学に通いながらなんて、どうなってるの!?って感じでしたね。シーズン前に大学とスケートの両立を心配されてたのが嘘みたいな演技です。冒頭の4Lz、あんな何事もなかったかのように、流れを維持したまま飛べるのやばい。マジカッコイイ。
あまりステップを詰め込んだプログラムでは無いのですが、ネイサンは一つ一つの所作がとにかく美しいので、個人的には無理に詰め込まず、このくらいで一つ一つの動きをしっかり見せてくれると良いなあと思います。
6.宮原知子 SP 小雀に捧げる歌
初期のあのグレーのドレープ衣装がすごく素敵でしたね。後半の白い衣装も好きですが。
一つ一つ、美しいポージングが切れ目なく続き、どこを切り取っても絵になっていて、うっとりとさせられるプログラム。短く弾む音に合わせて、2A前後でホップやスプリットジャンプ、ウォーレイを並べているのが、すごくおしゃれで良いです。
ワールドで、生でこのプログラムを見たのですが、見ているだけでなんだか泣けてきてしまって。人は美しいものを見たときに涙を流すものなのだなあと改めて思いました。
7.坂本花織 FS ピアノ・レッスン
色々なスケオタさんが今季ベスト10を選んでましたが、1番よく選ばれていたのはこのプログラムでは?昨シーズンのアメリが彼女にピッタリとはまったプログラムで、来シーズンははたしてこれ以上のものがくるのかと思いきやや、思いっきりK点を超えてきましたね。ブノワ・リショーの独特な手の動きと、彼女の飛ぶように滑るスケートが一体となって、圧倒的なパワーを感じました。スパイラル→スパイラルからのダブルスリー3Loはもう反則でしょう。
8.パパダキス/シゼロン組 FD Duet, Sunday afternoon
アイスダンスのことはよくわからないですが、これがすごいということはわかります。重力がかかっていないカーブリフト、異常なまでの推進力を持つワンフットステップ。もうなんだかよくわからない。何が起きてるんだ氷の上で。
9.織田信成 FS YMCA
反則では?と思いつつ、こんなに完成度高いプログラムなかなか見れないでしょ、と思ってしまったのでベスト10に入れました。スケオタ一年生が何を言ってるんだという話ですけど。
余裕を持って回り、そして余裕を持って降りてくるジャンプに、ステップもスピンも極上。そんな高い技術力で、スピンしながらYMCAポーズを取ってくるとか、もうズルいとしか言いようがない。観客とコネクトする力は現プロスケーターの中でも随一なのではないでしょうか。
otonalもoriginも本当に最高だったのですが、個人的には春よ、来いを推したいです。私たち羽生ファンはアイスショーでたっぷりと見られたこのプログラムですが、国際試合のエキシビションで披露されたのはたったの2回!人類の損失ですよ。
深く刻まれるステップの美しさ、ナルシスのように氷を覗き込むハイドロブレーディング 、音楽とシンクロして世界を塗り替えるスピン。私に漢詩の才能があったらこのプログラムを題材に詩集を作っていたところでした。
というわけで10本選んでみました。ここには入らなかったけれど、高橋さんのペイルグリーンゴーストとか、ヴィンスの脱出交響曲、ウンスのロキシーとか、紀平さんのbeautiful stormとかも好きです。来シーズンはどんなプロが見られるか、楽しみに待ちたいと思います。